アントニオ・ヤニグロ チェロ愛奏曲集


土曜の晩から日付変って日曜の丑三つ時。きのう一日振っていた雨もあがったようで外は静かだ。少し前からヤニグロのチェロを絞り気味のボリュームで聴いている。多分この数年の間でもっとも取り出すことの多かった盤の中の一つ、ヤニグロ/チェロ愛奏曲集と題されたヴァンガード原盤のアルバムだ。この盤についてはブログ開設当時に記事にしたことがあった。今でも時折出して聴く。手元にある幾多のチェロ名曲集の中で群を抜いて素晴らしい演奏だ。元々1,200円の廉価盤だがすでに廃盤で、amazonでみると中古CDが3倍ほどの値段で出ていた。


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1.「ゴイェスカス」~間奏曲(グラナドス)
2. シシリエンヌ(パラディス)
3. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番BWV1003~アンダンテ(バッハ)
4. ソナタ ニ短調第2巻の5~アレグロ・スピリトーソ(スナイエ)
5. 夢のあとにop.7-1(フォーレ)
6. 村の歌(ポッパー)
7. わが母の教え給いし歌op.55-4(ドヴォルザーク)
8. 「恋は魔術師」~火祭りの踊り(ファリャ)
9. 白鳥(サン=サーンス)
10. 蝶々(ポッパー)
11. メロディ ヘ長調op.3-1(ルビンシテイン)
12. 夜想曲 嬰ハ短調 遺作(ショパン)
13. グラナディーナ(ニン)
14. エレジー ハ短調op.24(フォーレ)
15. ハバネラ形式の小品(ラヴェル)
16. 熊蜂の飛行(リムスキー=コルサコフ)

まず洋の東西と緩急取り混ぜた選曲がいい。そしてヤニグロのチェロはそれぞれの曲想によって見事に語り口を変え、それぞれの曲の魅力をあふれんばかりに引き出している。全体にゆったりとしたテンポをとり、なおかつフレーズの進行を決して急がない。もちろん技巧のキレと安定性は十二分で、テンポを遅くしていても速度が遅いという感じにはならず、あくまで音楽の呼吸が深く余裕があると言ったらいいだろうか。中でもグラナドス、バッハのBWV1003のアンダンテ、フォーレの2曲が曲の良さもあって光る。火祭りの踊りでの明暗の描き分けとドライブ感あふれるボウイングも素晴らしし、有名な白鳥では歌い過ぎずに楚々として格調が高い。若い頃と違って、自分の好みの盤をこれがいいあれがいいと他人に薦めることはしないように心がけているが、この盤だけは事あるごとに強力プッシュしてしまう。

ヤニグロが設立したザグレヴの合奏団を率いて、クープランの作品を演奏する映像があった。ヤニグロは50年代に嘱望されながら手の故障から70年代には指揮活動に軸足を移した。本業のチェロを弾く姿は貴重だ。




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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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