ベーム&ウィーンフィル G・トレチャク モーツァルト オーボエ協奏曲ハ長調


きのう木曜の晩、当地は激しい雷雨に見舞われた。梅雨前線が活発化して大気の状態が不安定になるこの季節、夕刻から夜にかけてよくある天気だ。何でも群馬県東部の太田市では住宅の屋根が吹き飛んだというから、夕立のおしめりと情緒的な言葉では済まされないほど強烈だ。幸い拙宅付近は被害はなかったが、今夜もしとしとと雨が降り続いている。

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さて週末金曜日。今週もお疲れ様でしたねと自らなぐさめ、ひと息ついて、三日ぶりにアンプの灯を入れた。あれこれ盤を選ぶ気にもなれず、ふと棚を見回して目が合った写真の盤を取り出した。モーツァルトの管楽器のための協奏曲を集めたもので、ベーム指揮ウィーンフィルのバックで、同団のトップ達がソロを取っている。1970年代前半の録音。数年前に廉価盤で出た際に買い求めた。

モーツァルトがいくつか書いた管楽器のための協奏曲のうち、この盤ではフルート協奏曲ト長調、オーボエ協奏曲ハ長調、ファゴット協奏曲変ロ長調の三曲が収録されている。いずれも生真面目なベームらしい楷書で少々無骨に過ぎるかと思えるバックにのせて、これまたウィーンフィルのトップ連中が実に真面目に吹いている。特にフルート協奏曲を吹くヴェルナー・トリップは、メトロノームに合わせてきっちり吹くとこんな感じになりますよという見本のような演奏で、まるで教則本に付録で付いてくる音源のような律儀さだ。本当はもっと自在に吹きたかったのだが、大将のベームに、アホかっ!もっと真面目に吹かんかい!とどやされた結果かもしれない。
それに比べ、ゲルハルト・トレチャックのオーボエはずっと積極的な表現。ウィーン風のオーボエのチャーミングな音色と併せて、実に聴かせる。この曲にはこんなに多彩な表現箇所があったのかといくつも新たな発見をしたほどだ。これは掛け値なしの名演といえる。

以前フルート協奏曲についての記事をかいたが、ぼくの好みから言うとモーツァルトに関してはフルートやクラリネットより、オーボエ協奏曲とファゴット協奏曲が好きだ。ディットマール・ツェーマンのファゴットによるこの盤の演奏も中々味わい深い。どんな楽器か知らないがやはりウィーン風のやや古風な楽器なのだろうか、録音で聴く限りでも少し音量は控え目で音色は暖色系だ。カラヤン&ベルリンフィルによる、やはり70年代前半のEMI盤で吹いているギュンター・ピースクに比べ、朴訥としていて味わい深い。


循環呼吸でオーボエを吹くハインツ・ホリガーの演奏。90年代のものと思われる。この音源、実はオーボエよりスペイン生まれの名指揮者ヘスス・ロぺス=コボスに注目して選んだ。オケ部のアーティキュレーションで中々細かい指示を出している。オケはロぺス=コボスが90年代にシェフを務めていたローザンヌの室内管弦楽団。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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