アルゲリッチ&チョン・ミョン・フン シューマン ピアノ協奏曲


当地北関東は相変わらず厳しい残暑。朝晩はいくらか涼しくなった気もするが、日中は連日猛暑日の35℃超えが続いている。北関東の熊谷・館林・伊勢崎・前橋など、近年暑さで名をはせるようになった。他の地域在住の方には北関東といってもイメージがわかないだろうが、地図でみたとき緑色の広い関東平野の左上辺りといえばいいだろうか。海から遠い内陸、東京都心部で発生した熱が関東平野を対流してちょうど北関東に熱気が降りてくる…いろんな事情が重なって暑くエリアになっているようだ。きょうも仕事を終え、まだ暑さいえぬ夕暮れ時の帰宅ドライブの車中、こんな盤を聴きながら36キロの帰途を急いだ。


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アルゲリッチのピアノ、チョン・ミョン・フン指揮のフランス国立放送フィルハーモニーの演奏するシューマンのピアノ協奏曲。2001年12月パリ・シャトレ劇場でのライヴ録音で、2008年にタワーレコードの企画物廉価盤として発売された。
シューマンのピアノ協奏曲はロマン派のピアノ協奏曲の中では好きな曲の一つで、古くはリパッティとカラヤン&フィルハーモニア管から、70年代のリヒテルとマタチッチ&モンテカルロ歌劇場管、デ・ラローチャとコリン・デイヴィス&ロンドン響、同じアルゲリッチでロストロポーヴィチ&ワシントン・ナショナル交響楽団との盤などが手元にある。

さてこのシューマン。アルゲリッチとチョン・ミョン・フンの組合せと聞けば何となくイメージできる印象があって、実際のこの演奏はそのイメージ通りといったらいいだろうか。アルゲリッチのピアノはちょうど彼女が還暦を迎えた時期とは思えないほど生気に満ち、鋭いタッチから生まれる音は彼女のイメージそのままに奔放に空間に解き放たれる。ロマン派の曲だからそうした自由さも違和感はないし、彼女が得意としていたこの曲では、全編鋭く切り込むフレージングとスリリングな展開に、聴く側も思わずハッとして手に汗握る。

第1楽章は出だしのピアノとオケのトゥッティが緊張感のある音と付点のリズムで出たあと、オーボエが奏でる主題がテンポを一気に落として奏される。その音色とテンポチェンジが素晴らしい効果を上げている。以降もアルゲリッチの切れ込みよいピアノとそれに拮抗して対等に渡り合うオケ。程よい伴奏に終始しがちなオーケストラパートに、こんなフレーズがあったのかと何回もハッとするほどチョン・ミョン・フンの読みは深い。第2楽章でも終始オーケストラパートが雄弁で、特に例のチェロが繰り出すテーマなど、テンポを遅くとって息の長いフレージングで聴かせ、まるでマーラーの緩徐楽章かと思うほどのロマンティックな歌いぶりだ。第3楽章アレグロ・ヴィヴァーチェもピアノとオケの競い合いが素晴らしい。時折アルゲリッチが多分リハーサルでは確認していなかったような急激なアチェルランドをかけ、オケがそれに反応し切れずにヒヤッとする部分があったりする。躍動するリズム、終盤で奏される滑らかなスケールは僅かなタイミングの中に加速し緊張を高めていきながら、ピアノとオケが一体となって曲を盛り上げる。終演後の万雷の拍手も収録されていて、ライヴ盤を聴く醍醐味を堪能できる。

この盤、もちろんアルゲリッチのピアノが主役だろうが、チョン・ミョン・フンの譜読みの深さとそれに応えるオーケストラの素晴らしさも賞賛に値する。併録されているシューベルトの未完成も感動的な演奏だが、これについてはまた日をあらためて取り上げよう。


この盤の音源。第3楽章。1分30秒前後、一瞬ヒヤッと…



シャイー&ライプツィッヒゲヴァントハウス管との第1楽章前半



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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