クレンペラーのワーグナー・アルバム <2>


週末金曜日そして8月も終わり。今年も3分の2が過ぎたというわけだ。月日の進みは、早く終わって欲しいことを考えていると遅いし、続いて欲しいことを思っているとあっという間に過ぎてしまう。四十代になった頃は月日の進みが早く、歳を取ったせいだと思っていたが、最近はまた時間の経過が遅く感じられるようになった。若返ったわけではないので、早く終わって欲しいが中々終わらないことが増えたためだろう。つまりは、あまり楽しいことがないということですなあ。はいはい。


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…で、クレンペラーの続き。ワーグナー管弦楽曲集の第2集。収録曲は以下の通り。第1集と同時期の1960年から61年にかけて録音されている。ライナーノーツによれば収録場所はキングスウェイホール。昨日の第1集もあらためて確認したことろ、アビイ・ロードスタジオではなくキングスウェイホールと記されていた。つまり昨日の記載は大間違い。スンマセン、訂正&お詫びであります。但し、きのう短めの残響と書いたが、その印象は変らず、ホールトーンを控えめにして各パートの明瞭度を確保しようという意図がうかがえる。

1. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕の前奏曲
2. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕より”徒弟たちの踊りと親方たちの入場”
3. 楽劇「ラインの黄金」より”ワルハラ城への神々の入城”
4. 楽劇「ワルキューレ」より”ワルキューレの騎行”
5. 楽劇「ジークフリート」より”森のささやき”
6. 楽劇「神々の黄昏」より”ジークフリートのラインの旅”
7. 楽劇「神々の黄昏」より”ジークフリートの葬送行進曲”
8. 楽劇「パルジファル」より第1幕への前奏曲

相変わらず極めて重厚かつクリアな曲作りで、ワーグナーの複雑なスコアに書かれた音を団子にして放り投げるのではなく、一つ一つ分別収集して精緻に並べ直したような演奏だ。精緻に並べたというと、整然としているだけで盛り上がりに欠けるように思われそうだが、そうではない。<重厚かつクリア>という、通常は相反しそうな二つの要素を両立しているところにクレンペラー&フィルハーモニア管の素晴らしさがある。この第2集に関していえば、ニーベルンクの指輪から取られた曲に関して抜粋上(曲の切り出し)の不満があるにはあるし、いくつかの曲はやはり歌も入ってほしいと思ってしまう。それでも「ジークフリートの葬送行進曲」だけでもそうした不満を補って余りある演奏だし、マイスタージンガーやパルジファルは独立した前奏曲なのでその違和感はない。
マイスタージンガーは出だしから悠然としたテンポで始まり、途中更にテンポダウンして一層スケールが大きくなる。こういうテンポ設定になると、オケ側にも精神面・体力面共に相当な負荷がかかるはずだ。フィルハーモニア管の各セッションはそんな不安をまったく感じさせずにクレンペラーの要求に応えていく。そしてそうした音楽を克明に捉えた録音技術もたいしたものだ。

マイ・プリウス号のカーステレオは特別なチューニングなどしていないありきたりの純正オプション。そんな装置で聴いていると録音の全容など分かるはずもない。低音は60~100Hz付近がボコボコ鳴って不明瞭だし、走行音の邪魔もあるのでピアニシモのニュアンスを十分聴き取ることも出来ない。それでもクレンペラーの骨格のしっかりした設計図と、それをクリアかつ量感や力感も十分に実現するオケや録音の素晴らしさはよく分かる。もちろん帰宅してフルサイズのオーディオセットで聴くスケール感と細部の明瞭さは別格だ。
クレンペラーのCDはEMIから度々再発売されているが、その都度カップリング内容が変わったり値段も上がったり下がったり。紹介した盤も2006年に『EMI CLASSICS 決定盤1300』という廉価盤シリーズで出たが、すでに廃盤のようだ。EMIにはぜひ発売当初のオリジナルジャケットとオリジナルカップリングでまとめて復刻してもらいたい。クレンペラーのボックスセットなら十分セールスも期待できると思うがどうだろう。


この録音のLP盤で聴くワルキューレの騎行



こちらも立派なワルキューレ 昔ケンブリッジ・バスカーズ、今クラシック・バスカーズ



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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