セル&クリーヴランド管弦楽団 ブラームス交響曲全集


今週に入って不覚にも風邪をひいてしまった。
日曜の晩、のどがおかしいなあと思っていたところ月曜朝には痛みで唾も飲み込めないほどになり、鼻水も伴って事態最悪。会社帰りに勤務先近くの医院で薬を処方してもらった。きょうまでにのどの痛みは収まったが、抗ヒスタミン剤の薬効及ばず鼻水継続。ソフト仕上げの高級ティッシュの箱を抱えながら仕事に向かっている始末だ。

ところで当地北関東では一気に秋も深まり、今朝の通勤時プリウス号の気温計は10℃ちょうどを指していた。秋の音楽といえば何だろう…ぼくの場合最初に思い浮かぶのはやはりブラームスだ。彼の故郷北ドイツの港町;ハンブルグの街に枯葉が舞い、陽射しのない空に低く冷たい雲が垂れ込める。鬱々としたメロディー、歌い過ぎないロマンティシズム、渋さ極まる和声。嗚呼、ブラームス…

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…というわけで今週に入ってから通勤途上の車中リスニングは、先日手に入れたジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団によるブラームスの交響曲全集を聴いている。月曜からきょうまでで全4曲を聴き終えた。


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セルのブラームスが素晴らしいこと容易に想像できるのだが、たまたま手元には3番のレコードがあるだけだった。今回CBSソニーからリマスタリングされたCDがリリースされたのを期に手に入れた。録音時期は1966~1967年。CDでのリリースは1988年以来とのことだ。

いきなり結論めいてナンだが、演奏はいずれも期待に違わず素晴らしい。
まずテンポ設定がいい。「標準」といってもまったく個人的な感覚だが、その標準よりもわずかに遅めのテンポ設定。しかも大きなフレーズの切替ポイントでかなり大胆にテンポを落とすところもある。セルは19世紀的ロマンティシズムに根ざした演奏様式とは無縁というのが通説だが、こうして聴くとやはりその伝統を背負っていることを感じる。遅めのテンポだと全体としての響きが渾然一体となって重くなりがちだが、そこはさずがにセル。響きの透明度が高く、各パートの存在が手に取るように分かる。これこそがセルの真骨頂だろうか。もちろん録音の影響もあるが、そうした響きを目指して演奏し、録音技術陣もそれを最善の形で残そうとした結果だ。

セルのトレーニングを受けて鉄壁を誇ったクリーヴランド管弦楽団のアンサンブルも申し分ない。1stヴァイオリンがメロディーをとると、まるでひとすじの絹糸のようにメロディーが歌われる。そのメロディーをヴィオラとチェロが引き継ぐといったフレーズなど、こういうパート間の受渡しがあったのかとあらためて気付かされる。特に緩徐楽章での演奏にそうした美点が顕著に現れ、2番や3番の第2楽章などはあらためてその美しさに心打たれた。管楽器の扱いは弦楽群とのバランスを取り調和を図っている。しかしブラームスの曲でしばしば重要な役割を果たすホルンパートなどは、時にオッと思うほどの強奏を聴かせる。 周到に組立てられた展開、個々のフレーズの扱い、精緻かつ明晰な各パートの動き、そうしたもののベースの上に成り立つブラームスらしい音響と情緒の現れなど、秋色のブラームスにふさわしい名演だ。


第4番の第2楽章。4分10秒からの副主題の提示、そして9分10秒から同主題の再提示と盛り上がる展開はこの楽章この曲のもっとも素晴らしいフレーズの一つだ。



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No title

お風邪大変ですね。どうぞお大事になさってください。私は先々週原因不明の頭痛で睡眠もままなりませんでした。後頭神経の支配領域なので、一番怪しいのはヘルペスですが、確たる所見がないため、複数科受診することになりました。最終的には、ヘルペス疑いで抗ウイルス薬を処方してもらい10日目にやっと痛みが和らいだのですが、結局、それが効いたのかどうかは分からなかったです。でも、抗ウィルス薬って随分高くてまた頭痛が出そうでした(苦笑)

Re: No title

たけさん、こんばんは。
お気遣い恐縮です。週明けから一日ごとに咽、鼻、咳、ときてオールスターズ出揃ってしまいました。きのうの午後からは熱も出て完全ノックアウト。やれやれです。日頃の不摂生がたたったと反省しきりです。原因不明のウィルス性起因の頭痛とは少し心配でしたね。まあ、歳をとると、あれこれよくわからない不具合が出てきます(-.-

No title

こんばんは。

風邪をひかれたのこと、早く回復されるよう週末ぐらいはゆっくり休まれてください。

ところでブラームスですか。私も好きなほうでして、3番の交響曲とか、弦楽6重奏とか昔はよく聴いたものです。1番の交響曲の押し出しの良さも悪くはないのですが、ベートーベンを意識したと言う話しが先入観としてあるせいか、ちょっと力み過ぎ的な感じがして自分の中では一押しとまでは行きません。

マエストロ・与太さんのYouTUbeのチャンネルを登録させていただきました。これからも素敵な演奏を期待しています。私もマエストロ・与太さんには比べるべくもない拙い演奏ですが少しばかりアップしております。よかったらお耳汚しですが聴いてみてください。

Re: No title

hsさん、コメントありがとうございます。
風邪は思いのほかしぶとく、まだ回復しません。トホホ…です。お気遣いいただき恐縮です。

ブラームスの四つの交響曲はそれぞれ味わいがあって、どれがと決めかねますね。今の時期はやはり三番や四番が聴きたくなります。

あっ、演奏動画はお恥ずかしい限りですが、また機会を見つけて撮ってみます。自宅で構えて撮ると、ちょっとしたミスでテイクを重ねることになり、なかなかうまく行きません。ミスはあっても外で弾いたライブの方があきらめもついて、いいようです。hsさんの演奏も楽しみにしていますよ、

出遅れましたが

同様に風邪をひいて寝込み、出張が続き、ようやく一息つきました。セルとクリーヴランド管のブラームス、いいですね~。私はLPでは2番を好んで聴いていましたが、その後、初発のCD全集を購入し、ずっとこれを聴いています。ブロムシュテットの1番やワルターの4番なども好きで聴いておりますが、やっぱりセルの演奏に戻ってきます。全体の格調高さがお気に入りです。

Re: 出遅れましたが

narkejpさん、こんばんは。 コメントありがとうございます。

風邪はよくなりましたか? まだまだ冬はこれからですね。お互い用心しましょう。
え~、ブログにも書いた通り、セルのブラームスはLPで3番があっただけで、CDは買いそびれていました。この度CBSソニーとタワーレコードの共同企画で廉価で再発となりました。
おっしゃる通り、セルは常に格調高く、引き締まった造詣が素晴らしいと感じます。同時にテンポ設定やフレーズの処理にロマンティックな要素も合せ持っていて、どんな曲も文句なしという感じです。ベートーヴェンと並んでブラームスの音盤もあれこれあるので、また折をみて取り上げていこうと思います。


プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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