SKB

低血圧で朝が苦手だというと、タルんでいる証拠だと喝を入れられてしまいそうだが、実際のところ毎朝が真剣勝負だ。今朝も6時20分過ぎにようやく床を離れ、7時少し前にプリウスをスタートさせるまであわただしく朝の時間が過ぎた。それでも新聞の天気欄を見ると見事な西高東低。等圧線が見事に立て込んでいて、昨日の記事通りヨッシャ!と叫びながら家を出た。

勤務先のある群馬県南東部は土地が低く、利根川も程近い。そこに流れ込む小さな支流や湖沼も多く、昔から川魚や鰻を食べさせる店が点在する。きょうは3時過ぎから来客があり、夕方から当方のメンバー4名と一緒に近所の鰻屋で食事をした。旨い鰻をたらふく食べ、いささかもたれ気味の腹を抱えながら帰途1時間のドライブで9時過ぎに帰宅。車中FMをつけると、折から来日公演中のズビン・メータ指揮イスラエルフィルのライブ中継をやっていた。田園と7番のオールベートーヴェンプログラム。さきほど定期巡回した安田さんのサイトでも取り上げていたこともあって、今夜はSKBのベートーヴェンを聴くことにした。


スウィトナー&SKBのベートーヴェン


さて今夜はSKBだ。AKBではなく…
SKB、SKDと聴いてぴんとくるようなら、クラシックオタク度70点というところだろうか。好事家の間では、ベルリン国立歌劇場管弦楽団=Staats Kapelle Berlin.略してSKBで話が通じる。SKDはドレスデン国立歌劇場管弦楽団=Staats Kapelle Dresden。共に旧東独を代表するオーケストラだ。今夜取り出したCDは80年代初頭に日本コロンビアが現地に赴いて録音した全集版。指揮はオットマール・スウィトナーだ。日本コロンビアは70年代にNHKと共同でデジタル録音方式を実用化し、PCM録音と称して盛んに海外収録を行った。しかし初期の録音はいわゆるデジタル臭さが耳につく録音が多く、あまり芳しい成果がなかった。ようやくこの録音の行われた80年代なってヨーロッパの伝統的な音響イメージを手中に収めた。実際このスウィットナーとSKBによるベートーベンの録音は素晴らしくいい。まずコントラバス・チェロの低弦群が音楽のしっかり支えている。その上に弦全体の厚みが加わってベースとなる弦楽器のハーモニーが構築されている。木管楽器や金管楽器群もその弦の響きによく溶け合い、見事という以外にない。いま交響曲第2番ニ長調を聴き進めながらキーボードを叩いているが、スウィトナーの指揮も曲の運びをよく心得ている。第1楽章冒頭の和音からその安定感のある響きに、あぁドイツのオーケストラを聴いているなあと実感する。主部に入ってテンポが速くなっても響きのイメージは変わらない。それでいて切れ味も鋭く、盛り上がりで見せるアッチェルランドやティンパニーの一撃もまったく見事だ。東独のオケや指揮者スウィットナーが地味で堅実だけが取り得といったような論調はいったいどこからくるのか。このベートーヴェンは手元にある16種の交響曲全集の中でもイチオシだ。

80年代に何度も来日してN響を振り、ぼくらにもお馴染みだったスウィトナーだが、90年代になってパーキンソン病に冒され、その姿に接する機会がなくなった。そして本年2010年1月8日ついに彼の訃報に接した。享年87歳。もはやレコード棚にあるベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト、ドヴォルザークの盤で彼をしのぶしかない。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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