ショパンの誕生日 ピリスの弾くショパン後期作品集


弥生三月。数日前の真冬の寒さから一転、きょうは関東地方でも春一番が吹いた。今週も慌しく終了して、大きなため息と共に一服する週末金曜の晩。勤務先の職場では三月末締め切りの大きな業務が進行中。加えて四月の定期異動人事もオープンになり、あれこれ気ぜわしい。…とぼやきつつPCでネットをみていると、きょう3月1日はフレデリック・ショパンの誕生日とあった。ふと思い立ち、以前も取り上げたマリア・ジョアン・ピリスの弾くショパン後期作品集のCDを聴くことにした。


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2008年録音の2枚組。収録曲は以下の通り。今夜はディスク:2をプレーヤーのトレイにのせた。

<ディスク:1>
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58
2つの夜想曲 作品62 夜想曲 第17番 ロ長調 作品62の1
2つの夜想曲 作品62 夜想曲 第18番 ホ長調 作品62の2
3つのマズルカ 作品59 マズルカ 第36番 イ短調 作品59の1
3つのマズルカ 作品59 マズルカ 第37番 変イ長調 作品59の2
3つのマズルカ 作品59 マズルカ 第38番 嬰ヘ短調 作品59の3

<ディスク:2>
1. ポロネーズ 第7番 変イ長調 作品61≪幻想≫
3つのマズルカ 作品63 マズルカ 第39番 ロ長調 作品63の1
3つのマズルカ 作品63 マズルカ 第40番 ヘ短調 作品63の2
3つのマズルカ 作品63 マズルカ 第41番 嬰ハ短調 作品63の3
3つのワルツ 作品64 ワルツ 第6番 変ニ長調 作品64の1≪小犬≫
3つのワルツ 作品64 ワルツ 第7番 嬰ハ短調 作品64の2
3つのワルツ 作品64 ワルツ 第8番 変イ長調 作品64の3
マズルカ 第45番 ト短調 作品67の2
マズルカ 第47番 イ短調 作品67の4
チェロとピアノのためのソナタ ト短調 作品65
マズルカ 第51番 ヘ短調 作品68の4

ショパンは1810年のきょう生まれ、1849年に39歳で亡くなっている。この盤にはその晩年1944年以降の作品がほぼ網羅されている。この頃ショパンは体調を崩し、父を失い、ジョルジュ・サンドとの別れもあった。まさに失意の晩年だったろう。若い頃はショパンに対して<女学生が甘ったるい小説を小脇に抱えながら聴く音楽>といった、いささか偏見めいた印象もあって、積極的に聴くことはなかった。しかし近年、特に後期作品やマズルカなどは頻繁に聴き、その良さを実感するようになった(マズルカについて興味深いサイトがあった;<マズルカを味わう>)。この盤はそんなぼくの最近の心情にジャスミート。レギュラープライスにも関わらず、迷わずレジに持っていた。
ピリスは抑え気味の抑揚で静かにショパン晩年の心情をなぞるように弾いている。オーディオの音量をやや控え目にして聴くとより味わい深く響く。<子犬のワルツ>もピアノ発表会聴くような陽気にパラパラと弾く様には遠い。マズルカは沈み込んだ音調がいっそう聴く側の心を打つ。
チェロソナタは多くのピアノ独奏曲にはない渋い曲想の佳曲。晩年の作品あるいはショパンの作品とは思えない起伏と力に満ちたフレーズもときにあるが、しかし底流には心折れるような悲痛でメランコリックな曲想が流れる。この盤ではパヴェル・ゴムジャコフという1975年ロシア生まれのチェリストが弾いていて、やや暗めの音色でよくこの曲のイメージをつかんでいる。


ショパンの晩年作品について語り、弾くピリス。


チェロソナタ。この盤の演奏音源。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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