海野義雄 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
五月も下旬になって昼間の気温も上昇中。かつ湿度感も高く、あと二、三週間で梅雨の季節がくる気配も感じる。春から夏への季節の変わり目だからか、何となく体調すぐれず、朝からだるい。…などと言いながらも地味に勤め人生活継続中。今夜は八時少し回って帰宅。一段落して、三日ぶりにアンプの灯を入れた。


海野義雄が弾いたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の盤を取り出す。オケはハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮の北ドイツ放送放送交響楽団。1967年の録音。メンデルスゾーンのホ短調の協奏曲がカップリングされている。いわゆるメンチャイの一枚。70年代半ばにグラモフォンの廉価盤レーベル;ヘリオドール・シリーズが一段落したあと、この焼き直しとして出てきたシリーズ中の一枚だ。
海野義雄といえば、その演奏よりも80年代初頭のガダニーニ事件を思い出す。事の真相や経緯についてぼくなどが言うことは何もないのだが、あれから30年たっても、こんな与太ブログとはいえ、いまだに登場させられるのは本人には不本意かもしれない。しかし、それだけインパクトの大きな事件だった。きょう取り出したグラモフォン盤は当時まだ30歳になるかならないかの前途洋々たる若き日の録音だ。
第一楽章、当時の海野義雄の血気盛んな若さが表れる。ドイツ正統派のイッセルシュテットのリードが意に添わないかのように、海野はフレーズを先へ先へを前のめりに弾き進める。当時の立場から言えば完全に胸を借りる状態だったはずだが、そんな気配はなく、わが道を行く海野義雄。しかしヴァイオリンの音そのものは太く逞しい。イッセルシュテット配下のNDR響はややくすんだ響きと重厚な弦楽群の音がいかにも北ドイツのオケを思わせ素晴らしい。
テンポをかなり揺らす海野の曲の運びとたっぷりと太い音色は、第二楽章でのロマンティックな曲想になって功を奏し、第三楽章に入るとようやく両者の息も合い始める。ライナーノーツを見るとハンブルクでの録音セッションは二日に渡っている。おそらくチャイコフスキーの第一楽章は初日のセッションではないかと想像する。二日間とはいえ、時間と共に両者に自然と調和が進むのだろう。
海野義雄は90年代以降音楽活動を再開し、アンサンブルを主宰したり、音大の学長を務めるなどなどの動きはあったようだが、結局演奏活動そのものは以前のように活発になることはなかった。
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