グールド ハイドン/ピアノソナタ変ホ長調 Hob.XVII:49


世間から遅れること二週間。つかの間の夏休みと取り、溜まった野暮用を消化しつつダラダラと過ごしている。夜更かし・不規則はそれなりに楽しいのだが、身体には決してよくない。昼間もダルさと眠気が抜けない。しかしそれもセットでお楽しみと心得よう。


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音楽を意識的に聴き始めてから四十年余になる。その間、音楽的嗜好にもいろいろと変化もあった。近年の変化の一つがハイドン。以前は古典派のドンにして交響曲の父くらいの、中学校の音楽の教科書程度の認識しかなかった。もっとも今もそれ以上の知識は持ち合わせないだが、ハイドンの音楽がともかく面白くかつ心地いい。交響曲しかりピアノソナタしかりだ。ハイドンの手持の音盤はごく少数しかないのが残念。いまはハイドンのピアノソナタを少しまとめて手に入れようと思っている。そんなことを思いつつ、例のグールドボックスからハイドンのピアノソナタの盤を取り出した。晩年に再録音することになる第3番(以前の通称)変ホ長調Hob.XVII:49。モーツァルトの10番のソナタK.330と前奏曲とフーガ:ハ長調K.394が一緒に入っている。1958年の録音。
まったく見事なハイドン。おそらくこんな風に弾くピアニストは少なくても当時はいなかっただろう。乾いたノンレガートなタッチ、スタカート気味に切り詰めた音価。ぎっしり詰まった小さな音符が、まるで楽譜から解き放たれたように軽く宙に舞う。愛用のスタインウェイピアノがフォルテピアノのように響く。ある本に、分厚いサウンドとレガートからハイドンを解放した記念碑的演奏とあったが、まったくだ。当時はさぞエキセントリックに受け取られた演奏だろうが、あらためて聴くと音楽としてのフレージングは理にかなっているし、対位法的なフレーズでの各声部の明快さも見事。ハイドンが書いた楽譜、意図した響きがそのまま目の前に提示される。


この盤の音源。59番はランドン版の番号。CDはずっといい音です。



園田高弘の恰幅のいい巨匠風の演奏。この演奏の40秒過ぎとグールドの30秒過ぎとを聴き比べると、左手の音形、右手のフレージングなど、明瞭度がまったく違うことがよく分かる。それぞれに味わい深く、どちらを選ぶかは好みの問題だ。



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No title

こんばんは

やはりグールドの演奏に引きつけられますね。本当に鍵盤の軽い楽器を弾いているかのような錯覚を受けます。ハイドンの真髄を捉えたような演奏を'58年にやっているとは驚きです。

Re: No title

michaelさん、こんばんは。
ハイドンねたにつき、お待ちしておりましたよ(^^

まったくその通りですね。もちろんスタインウェイのセッティングもグールドのタッチに対応できるようにセッティングされてはいるでしょうが、それにしても何か機械仕掛けでもあるのかと思うほど、軽やかかつ流麗なタッチです。ペダル無用のノンレガートながら、音楽のフレーズはきわめて滑らかに流れています。持続音が出せないギター弾きにも参考になる演奏です。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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