ラミレスの弦交換


朝から穏やかな日和だったが、午後三時を過ぎた頃から風が強くなり、少し雲も出だした。天気図をみるとちょうど低気圧が本州を横断中の様子。明日はまた冬型に戻って少し気温も下がるだろうか。そうこうしつつ、冬から春へと季節は移る。拙宅の道楽部屋に差し込む陽射しにつられて、のんびり手仕事。手持ちの楽器のうち、ホセ・ラミレスの弦を交換した。

ラミレス3世1a1978年製。30年間ほとんどデッドストック状態のものを数年前に手に入れた。ぼくにとっては初めての外国製ギターだった。状態は今も健全で、時折取り出して弾くが、当時全盛期だったマドリッド・ラミレス工房の隆盛がうかがえるいい音だ。一時期664ミリの弦長が気になって、650ミリのものに替えようかと数台試奏してみたが、たまたま試奏した個体は、音に関しては自分の楽器以上には感じなかった。旧友Y氏が長らく使っていた650ミリのラミレスは、表板に松を使ったモデルで、典型的なラミレスとは少し違っていて鳴りも素晴らしかった。

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弦交換と併せて楽器のクリーニングも。
フレットと指板はもっとも汚れやすい部位だ。フレット磨き用のツールは500円で購入。ゴージャスマダム御用達の銀製品磨きクロス(楽器用も有り)で拭く。黒檀の指板はレモンオイルで汚れを落とす。部屋に柑橘系の匂いが香ってくる。

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表板にはカルナバワックスを使う。ラミレスの塗装は丈夫な樹脂による塗装なので、煙草の根性焼きにも耐える?!のだが、手持ちの楽器にはセラック塗装のものもあるので、もっぱらこのカルナバワックスを使っている。表板に写真のようにたらして指で延ばす。数分おいて白く乾いたところで百均のマイクロファイバークロスで吹き上げる。

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36歳とは思えない美しい輝きの表板。マドリッド生まれの美魔女の面目躍如(^^; 
糸巻き周辺もクロスでよく拭く。美魔女は隅々まで磨きをかけるのだ。

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弦は今回プロアルテのハードテンション。高音弦の駒側には牛骨のチップを使った。まあ、気休めあるいはおまじないというところ。今回は低音弦の駒側は弦をよじらず、シンプルなワンターンで留めた。余分の出た弦の尻尾は駒側、糸巻き側ともに短くカット。その際、表板を傷つけないよう、厚紙を敷く。

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以上で完了。ひと通り調弦を済ませて音出し。妙なところがなければ半音ほど高めに合せ、ひと晩おいてから本格的に弾き始める。弦の交換作業が実に楽しい。心踊るといっていいほどだ。普段は黙って音を奏でているギターと、ちょっとした会話をしている気分になる。


マドリッドのラミレス工房の様子。60~70年代は多くの職工を抱えて全盛を誇った。現在は規模を縮小したが、それでも活気あふれる様子が伝わってくる。



ショップに併設されているミュージアムの様子。



ラミレス全盛期の1971年1aモデル。アルベニスやグラナドスなど、スペイン物のここ一番での甘い音にラミレスはぴったりだ。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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