群馬交響楽団第501回定期演奏会
先月、ベートーヴェン<皇帝>と大曲R・シュトラウス<アルプス交響曲>で記念すべき第500回の定期演奏会を迎えた群馬交響楽団。きのう26日は、指揮者に広上淳一を迎えて501回目の定期が開かれた。今でこそ地方の主要都市では立派なプロオーケストラが活動しているが、戦後まもなく産声をあげ、昭和30年代から定期演奏会を続けてきた群響(グンキョウ)はその草分けだ。そして1961年昭和36年には市民の力により当時としては画期的な音楽専用ホール<群馬音楽センター>が完成している。




このホールはアントニン・レーモンドによる設計。第一次大戦後、帝国ホテル設計施工の助手としてフランツ・ロイド・ライトと共に来日。以降、多くの傑作建築を残した。群馬音楽センターはそのレーモンドの代表作であり、モダニズム建築の傑作といわれる。築50年を経て、設備や音響の面をみれば、その後作られたホールに劣ることは否めないが、一方で、歴史を重ねてきたものだけが持つ存在感を近年より強く感じる。
さて、きのう501回定期のプログラムは以下の通り。
ショスタコーヴィチ/祝典序曲
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調
グリーグ/劇音楽《ペール・ギュント》第1組曲・第2組曲
指揮:広上淳一
ヴァイオリン:ボリス・ベルキン
前半はショスタコーヴィッチの作品が2曲。<祝典序曲>は吹奏楽分野の定番曲のようだが、本来の管弦楽での演奏は珍しい。舞台袖にバンダの金管隊も陣取り、開幕に相応しい華やかさと迫力。夏の暑気払いの幕開けには最適だ。金管群の強奏とグランカッサの一撃に、デッドな音響の群馬音楽センターも大音響に包まれた。<ヴァイオリン協奏曲>は、自宅のオーディオセットで聴いていると内省的で沈うつな表情に耳がいきがちだが、こうしてステージを目前に聴くと印象がかなり違う。この作品がもつ音響的な構成に興味が向かい、ずっと明るくめざましい作品に思えてきた。これには広上淳一の曲作りも多いに関係している。彼のキャラクターの表れだろうが、深刻な沈うつに沈み続けるところがなく、第2、4楽章の軽妙さやスピード感が心地よく伝わってくる。開演前のプレトークでの音楽評論家:渡辺和彦氏の話によれば、ロシアのヴァイオリン協奏曲としては近年、チャイコフスキーと並ぶほどよく演奏されるそうだ。実演に接して初めてそれだけのポピュラリティーがあることを実感した。
休憩をはさんで後半は<ペールギュント組曲>。ポピュラーなクラシック名曲として、ファミリコンサートのようはカジュアルな演奏会では抜粋がよく演奏されるが、定期演奏会で第1・2組曲全曲が取り上げられることは滅多にないだろう。オーセの死、イングリッドの悲しみ、ソルベーグの歌での弦楽群のアンサンブルが美しい。広上淳一の指揮姿を見ていると、フレーズの運動性が手に取るように分かる。派手なアクションだけ見ると少々注文を付けたくなる向きもいるだろうが、出てくる音楽がピタリとマッチしているので違和感も嫌味のない。こういうタイプの指揮者も貴重だなあと感じた。
ショスタコーヴィッチとペールギュントという選曲の意図が分からずに開演に臨んだのだが、聴き終えてみて、それぞれの曲が持つ温度感の妙に納得。盛夏の夜の暑気払いとして、いいコンサートだった。
閣下と群馬交響楽団との競演。閣下、歌うまいなあ…
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