スピーカー試聴 タンノイとハーベス


以前から気になっていた…シリーズ。SOULNOTEのRM10、ハウザー1世ウィーンモデルとフリッツ・オベールに続き、三回目の今夜は、以前から気になっていた総務部の○○嬢…という話はまったく無くて、再びスピーカーの試聴であります。 

さて、あらためて、以前から気になっていたスピーカー…。2S-305とおさらばして以来、大型スピーカーとは決別したわけだが、心残りがないのかと言われると、wwwっと言葉に詰まってしまう。現有のHarbeth:HL-P3ESRも、神田リビングミュージック社のS-2Cも、小型なりのメリットを発揮していい音を奏でてくれてはいる。がしかし、オーケストラ音楽の根幹を成す、コントラバスの基音が十分に聴こえずして、音楽の和声感の成り立ちを楽しむことは出来ない。どうしても40Hzまでしっかりレスポンスして欲しいと思うのだ。そして、大型とはおさらばしたが、<中型>ならいいのではないかと、変な自己弁護も働く。そんなこんなで、試聴だけでもと思って選んだのが以下の2機種だ。過日、秋葉原の某販売店で試聴する機会があったので記しておこう。


■タンノイ:スターリング■

クラシックファンにとってはお馴染みのブランドであるタンノイ。家具調のエンクロージャがもてはやされるのは、今や極東の島国だけと言われながらも、相変わらずの存在感を示している。スターリングはその中ではエントリークラスの位置付けだが、数年おきにモデルチェンジしながらもIIILZ以来のポジションを守っている。以前のずんぐりした縦横比からスマートなトールボーイ型になり現行機種で三代目。中身を大きく変っていない。新しい傾向を追わない古典的なスピーカーとしては、もう変えるところもないのだろう。試聴には先日の記事書いたSOULNOTE:RM10の試聴に使ったのと同じCDで臨んだ。

stirling_01.jpeg

予想以上にメリハリのある音で驚いた。よく言えば柔らかい、悪く言えば眠い音を予想していたが、見事に裏切られた。タンノイのプレステージシリーズと言えば、豊かな低音をまずイメージするが、今回試聴して最初に耳が向いたのは、小型ながらホーン形式を採る中高音のレスポンスの良さと、同軸ユニットらしいシャープな定位だった。中域以下が柔らかい音色なので、総体としては決してエッジが立った音ではないのだが、少なくても眠いようなぼんやりした音ではない。ホリー・コール、熱帯ジャズ楽団、ヤニグロのチェロ、いずれも十分にリアルで過不足ない表現。もちろん、マーラーはホールトーンの広がりを感じさせる素晴らしいものだった。う~ん、スターリング侮り難し…。デザインもスリムで、我が道楽部屋にも違和感なく収まりそう。マジでヤバい…


■ハーベス:HL-Compact7es3■

ハーベスのスピーカーはいずれもそのヴィジュアルが秀逸だ。なんの変哲もない木製エンクロージャだが、いかなる調度にも違和感なく溶け込みそうな佇まい、見事な黄金比のプロポーションなど、英国中庸の美そのものだ。そんなことを思いつつ、現有のHL-P3ESRの音色をそのままに、低域方向のスケール感が拡大したら…という下心たっぷりに試聴に臨んだ。

hlcompact7es-3.jpeg

一聴して、その下心が吹き飛んだ。タンノイのスターリングを聴いたあとだが、同じ英国ブランドながら、まったく印象が異なった。正直いって眠い音。エネルギーバランスとしては中低域寄りで、それに見合った中高音が載ってこない感じだ。この音をもって、刺激的でない柔らかく聴き疲れしない音という評価になるのだろう。しかし楽器の生音を知っている人なら分かるように、楽器の素の音は毛羽立ち刺激的なものだ。それが実際に弾かれる環境のルームアコースティックによって豊かで潤いのある音に変る。
手持ちのHL-P3ESRは決してこんなバランスではないし、眠い音でもない。どうやらエンクロージャのサイズアップとバスレフ化に伴って中低域が拡大した一方で、それに見合った中高音の質と量が確保されていないことが要因のように思う。そもそもロジャースのLS3/5のオリジンを持つHL-P3ESRは、人の声のモニターとして開発された経緯があり、帯域は広くない。HL-Compact7es3はHL-P3ESRの単純なスケールアップ品ではなく、まったくコンセプトが違うのだ、というのが、今回の試聴での結論となった。


さて、共にいいスピーカーだがどうする。
小型スピーカーに徹するわけじゃなかったのか。いや、まあ、その~。しかし、スターリングの大きさなら、投影面積は小型と差ほど変らないし、方寸8畳間でも圧迫感はない。音のバランスもいい…。スターリング…
と、まあ、そんなことをつぶやきつつ、夏の夜は更けるのでありました。


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URL変更

こんにちは。
大型スピーカーなんて夢のまた夢の私です。

記事内容に関係ないコメントですみません。
ちょっと事情があってURLを変更しましたのでお知らせします。

http://www.h2.dion.ne.jp/~kisohiro/index.htm

Re: URL変更

木曽のあばら屋さん、こんにちは。
URL変更になったのですね。承知いたしました。
以前、リンクを貼ったつもりでしたが…あらためてリンクリストに加えてもよろしいでしょうか。

大型スピーカーねぇ…身辺諸事優先事項のとの兼ね合いで、気になったり消えていったり、その繰り返しです。

No title

ハーベス:HL-Compact7es3 は、ロック(BEATLES等)には向きませんか?

Re: No title

お尋ねしますさん、こんばんは。

>> ハーベス:HL-Compact7es3 は、ロック(BEATLES等)には向きませんか?

まったく個人的な印象ということでお許し下さいね。
ビートルズの音楽をどんなイメージで聴くかにもよるでしょうが、60年代ロックンロール的なイメージと考えると、HL-Compact7はベストチョイスではないと考えます。少々まったりし過ぎているかと。
もっとパリッとした反応のいいスピーカーの方が、いきいきとした再生が可能だと思います。
ハーベス=英国=ビートルズ…とはつながらないように感じます。

No title

ご返信いただきありがとうございます。
仰るように、単純に"ハーベス=英国=ビートルズ"と考えてしまいました。
"パリッとした反応のいいスピーカー"とは例えばどの様な機種がありますか?
初心者ですので教えていただければ幸いです。宜しくお願いします。

Re: No title

諸条件が不明なので、何かを薦めるのはとても難しいのですが…
フォステクスの10~16センチのフルレンジユニットを指定の箱に入れたものなどはどうでしょう。おそらく失望しないでしょう。実際、職場のビートルズファンが、私の手元にある10センチユニットを6リットル程度の小さな箱に入れたスピーカーの音を聴いて、それのフレッシュさとリアルに驚いていました。

以下のURLにある箱に12センチユニットを入れたものを私も聴いたことがありますが、フレッシュな音でした。
http://www.fostex.jp/products/bk125wk/

完成品のシステムでは、同じフォステクスのGX100などいいと思います。

No title

こんにちは、初めて投稿いたします。 何時も楽しく拝見しておりますが私もオケ等々続けながらオ-ディオを一生涯の趣味として世界中のスピーカーを聴き続けて来ました。タンノイだけでも12ランカスタ-、315オ-トグラフ、385オ-トグラフ他でした。 でも一番幸福だったのはハ-ベスHL5が鳴ってた時です!
今は炬燵の中で唯一の手作り、城下工業のヘッドフォンでジックリ聴けるのがベストで落ち着いてます。

どうぞ演奏ともに楽しまれて下さいませ、失礼しました。

Re: No title

マイスターフォークさん、初めまして。コメントありがとうございます。
筋金入りのタンノイ使いでいらっしゃいますね。素晴らしい!
私など、半ば衝動買いでスターリングを手にし、ろくろく面倒もみないくせに、中低音の分解能がどうの、最低域は意外に早くロールオフしてしまうだのと、軽々に言っています。どうか、笑ってやって下さい(^^
城下工業のヘッドフォン、存じてはいましたが、まだ実物に触れてことがありません。堅実に作られた名品のようで興味があります。…と言いながら、実は先日、某メーカーの開放型ヘッドフォンを発注し、只今納品待ちです。いずれまた記事にしましょう(^^;
どうか、これからもよろしくお願いいたします。

プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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