序奏LOVE


八月も下旬になった。昔の記憶ではお盆を過ぎると朝晩は涼しくなったものだが、近年はその気配なく、暑い日が続く。昨夜の当地は、差ほど長い時間ではなかったが激しい雷雨に見舞われ、小さな川が流れる隣り町では避難勧告が出た。夕立も風情を楽しむ程度ならいいのだが、そう都合よくはいかない。
さて土曜の昼下がり。音盤棚を眺めながら、2枚のレコードを取り出した。


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ブルックナー交響曲第7番ホ長調のマタチッチ&チェコフィル盤、そしてメンデルスゾーン交響曲第3番イ短調<スコットランド>のペーター・マーク&ロンドン響盤。共に昔から親しみ、今でももっとも優れている演奏の一つだと感じている名盤だ。この二つの曲の共通点は、その序奏の素晴らしさにあると思うのだが、どうだろう。
ハイドンやモーツァルトなど古典派交響曲にももちろん素晴らしい序奏がある。ハイドンのそれはいずれも簡素ながら充実した和声感をもっているし、モーツァルトの、特に後期交響曲のいくつかは、より拡大された構成が素晴らしい。そして時代が下ってロマン派になると、交響曲そのものの構成が拡大するのに伴い、その序奏も一層充実してくる。そしてあまたある楽曲の中で、序奏の素晴らしさで思い出したのがこの2曲だ。

典型的な<ブルックナー開始>で始まる第7番。ザワザワという弦のトレモロにのってチェロが大らかで明るい旋律を歌う。息の長いフレーズを深い呼吸で歌うのは簡単なようで案外難しいだろう。メロディーの高揚に伴って、どうしても拍節が前のめりになってしまう。その点、マタチッチとチェコフィルによるこの演奏は完璧だ。旋律が高音楽器群に移ってからは、チェロとコントラバスが支える低域の対旋律がまたすばらしく、6分ほどの序奏は、ときに緊張も含みながら大河のように大きく豊かに流れていく。
メンデルスゾーン<スコットランド>の序奏もブルックナーと性格は異にするが、劣らず素晴らしい。イ短調のほの暗い冒頭は、霧につつまれ憂いをただよわせるスコットランドの自然を思わせる。このマーク&ロンドン響盤は、ステレオ初期の録音ながら英デッカの秀逸な技術により、各パートの動きが手に取るように分かる細部と、オケ全体の響きとエネルギーとが素晴らしく良くバランスしている。
ロマン派以降の管弦楽曲には、主役であるはずの主部を食ってしまうほどスケール豊かで充実した序奏を持つ曲も少なくない。きょう取り出したこの2曲などは、その筆頭だろう。


マタチッチ&チェコフィル盤の全曲。



ペーター・マーク指揮ロンドン交響楽団によるメンデルスゾーン<スコットランド>第1楽章。序奏は3分40秒まで。1分40秒辺りからの低弦群の充実ぶり。2分15秒でのトランペットの強奏。2分20秒過ぎからの低音の上昇音階も鳥肌ものだ。



ブルックナー第7番ホ長調。フルトヴェングラーの死後、ベルリンフィルのシェフ最有力候補だったチェリビダッケが、38年ぶりにベルリンフィルを振った演奏。9分40秒まで続く序奏の終盤、8分30秒から旋律を歌う高音群を支えるコントラバスとチェロ。単純な音形だがゾクゾクきてしまう。そして個性的かつ説得力のある高音群のフレージング。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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