セゴビア SPコレクション


何やら秋雨前線が居座ったかのような天気図で、パッとしない天気が先週から続いている。気温はほどほどでしのぎやすいのはいいが、このまま夏が終わるとも思えない。ぼちぼち周回遅れの夏休みでも取ろうかと、仕事の兼ね合いを見ながら様子見。週明けのきょうは少し早く帰宅した。ひと息ついて音盤タイム。久々にセゴビアでも聴こうかと、こんな盤を取り出した。


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セゴビアSPコレクションと称する2枚組CD。80年代の終わりに出た例のセゴビアコレクション全16巻の番外編として1989年にリリースされたもの。ときすでに第2次大戦の真っ只中の1944年1月10日から29日までの3週間に渡って米デッカ(MCA)のために録音したすべての曲が収められている。少々長くなるが収録曲を以下に記しておく。

CD1
1. 第1番 ハ長調作品6の8 /ソル 
2. 第2番 ハ長調作品35の13 /ソル 
3. ソナタL.352 K.11 /スカルラッティ 
4. メヌエット /ラモー 
5. 第5番ロ短調作品35の22 /ソル 
6. 第4番二長調作品6の1 /ソル 
7. 新しいアイルランドの調べ /パーセル 
8. メヌエット /パーセル 
9. ジグ /モルガン  
10. ガリアード /ダウランド 
11. アンダンテ /ハイドン 
12. 第3番イ長調作品6の2 /ソル 
13. 第6番ニ長調作品35の17 /ソル 
14. 第9番イ短調作品31の20 /ソル 
15. 第10番イ長調作品31の19 /ソル 
16. 聖母の御子 /カタルーニャ民謡 
17. アメリアの遺言 /カタルーニャ民謡 
18. 第19番変ロ長調作品29の13 /ソル 
19. サラバンド /ポンセ 
20. ガヴォット /ポンセ 
21. メヌエット /ハイドン 
22. 第12番イ長調作品6の9 /ソル 
23. 第15番ニ短調作品35の16 /ソル 
24. 第8番ニ短調作品6の9 /ソル 
25. 第11番ホ長調作品6の3 /ソル 
26. 第20番ハ長調作品29の17 /ソル 
27. ダンサ・モーラ /タレガ 
28. メヌエット /タレガ 
29. ブルガーサ /トローバ 
30. アルバーダ /トローバ 
31. アラーダ /トローバ 

CD2
1. グラナダ /アルベニス 
2. スペイン舞曲第10番 /グラナドス 
3. パバーナ第6番 /ミラン 
4. パバーナ第4番 /ミラン 
5. パバーナ /サンス 
6. ロマンス /パガニーニ ポンセ編 
7. スペイン舞曲第5番 /グラナドス 
8. 朱色の塔 /アルベニス 
9. トナディーリャ /グラナドス 
10. セビーリャ /アルベニス 
11. エントラーダとジーグ /ド・ヴィゼ 
12. ジーガ・メランコリ /セゴビア
13. ブーレ /ド・ヴィゼ 
14. メヌエット 
15. カンツォーネ 
16. サルタレッロ 

こうしてみると後年の再録音やセゴビア編の楽譜でもお馴染みのオハコが並んでいる。CD1ではソルの練習曲(特にセゴビア編20の練習曲)が、そしてCD2ではスペインものが過半を占めている。個々の曲の演奏や解釈は後年、60年代以降の再録音のものに比べ、総じてテンポが速いものの基本は大きく変らない。その解釈については、現代的な視点でみると異論を免れないものではあるが、それよりもこの盤でもっとも注目すべきは、セゴビアの奏でるギターの音色そのものだ。使用楽器はハウザー1世。そしてまだナイロン弦はなく、ガット弦が張られていた時期にあたる。つまり、20世紀初頭のスパニッシュギターを範にしたハウザーギターとガット弦の音がよい条件で聴けるアルバムということになる。
SP盤用の録音ということではあるが、1940年代半ばの録音としてはすこぶる録音状態がいい。もちろんSP盤から<板起し>をしたわけでないので、SP盤再生に付いてまわる針音はない。ギターの目前にマイクを置いて録られた音のようで、しかもほとんど残響のないデッドな録音のため、セゴビアのタッチに反応するギターの音色が生々しく聴こえてくる。ハウザーギターとガット弦による音は甘く太く、同時にカリッとした立ち上がりの良さも兼ね備えている。ヴィブラートのかかり具合も現代のギターよりも強い。一方で、サステインは短めでコロコロした音色。6弦低音の音も特徴的で、低めのウルフトーンに支えられ、6弦ローポジションの音がドンッと響く。
録音当時50歳のセゴビアは、まだまだ壮年というべき時期で、時折聴かせる技巧の切れは素晴らしく、また特徴的なタッチとそこから生まれるセゴビアトーンは、後年の録音よりも一層個性的。現代の多くの名手と違って、音を聴いてすぐにそれを分かるセゴビアは、やはりワンアンドオンリーの存在だ。


この盤と同じ音源によるグラナドス<トナディーリャ=ゴヤの美女>


60年代半ばと思われる。



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ハウザーの良さ

ハウザー関係をサーフィンしていましたら、六弦 様のブログに到着。それで、読み込んでいました。ハウザー三世、すばらしいですね。
 私もフェアで、三世のいる時に購入、フェアで持参した6本の中から1本を選びました。ハウザーさんの招へいでは名高いK店です。

近年のハウザー三世の名声は不動で、一時期の評価の低さとは全くの別物です。私もコンサートで使用してますが、その評価は、必ず、「澄んだ音色で、遠くまで聴こえた」という共通の評価があることです。この濁りの無い澄んだ音色というのが、最大の長所でしょう。聴衆の評価こそ最大の評価だと思うのです。

あっ、それとですね、ちょっと誤解があるといけないので訂正しますね、
セゴビアが1世を使いだしたのは、1937年以降ではありません。1928年のものからコンサートで使い始めているのです。日本初来日に持参してます。ですから、1世を買うなら1928年以降が良いと思います。高級セダンを買うか、1世を買うかの選択にできるなら、迷わず1世でしょうが(笑)・

Re: ハウザーの良さ

ともさん、はじめまして。アクセス&コメントありがとうございます。

ハウザーなんて、自分には縁なしと思っていましたが、近年思いつのり、記事に書いた通り、2012年初夏に手に入れました。実際に自分のものとしてじっくり弾いてみて、やはりよく出来た楽器だなあと思います。こんなことならアレコレ散財せずに、もっと早く買っておけば良かったと…(^^;

> セゴビアが1世を使いだしたのは、1937年以降ではありません。1928年のものからコンサートで使い始めているのです。日本初来日に持参してます。

そうでしたか、私自身あまりこうしたことをきちんと調べずに、よく書かれていることを鵜呑みにしていました。 1世は、2世の後半以降(70年代以降)から3世にいたる楽器とかなり違っていて、スパニッシュな味わいが濃い楽器だと思っています。重さも1400グラム以下ですし、ウルフも低めです。
ヴァイオリンと比べれば、大した額ではないでしょうが、まあ買えませんね(^^;

稀代の名器

おはようございます。

 実は、私も若い頃から散財をしながらハウザー三世に辿りついたのでした。
今から思えば、散財があったからこそハウザーの良さを知ったのかもしれません。逆にその良さがわからない内は買わない、ということかもしれません。
 私が買ったお店には、ハウザーに関しては、その知識、弾き方では右に出る者がいない ? という有名な店長さんがいらっしゃるのですが、ずいぶんと試奏の時にタッチについて解説いただきました。「ハウザーの良さを引き出すタッチは、そう簡単なものではない」 そうなんです。
 私個人の経験では、難しいのはⅡ製のほうで、三世、一世はむしろ素直な楽器かなと思いました。Ⅱ製はほとんど、固く引き締まり、音出しが難しかったですね。

20年以上も前に某店で、一世の試奏会が予約制で行われたことがあり参加しました。有名ギタリストも何人か来店されて大好評でしたが、その時の1世はたとえようもないほどの音だったです。タッチに繊細で、びっくりしたものです。
やはり稀代の名器は違うなあと。でも買えません(笑)。

Re: 稀代の名器

ともさん、こんばんは。

私の経験など限られたものですが、2世も50年代の楽器は、後年60年代から70年代にかけてものと随分違っていて1世に近く、具体的には、より軽くスパニッシュテイストの楽器だと思います。軽く発音し、しなやかな弾き心地でした。3世になってからアレコレ言われますが、世代交代には付き物の話ですね。3世もコンスタントによい楽器を継続的に作っていると思います。

No title

仰るとおりです。50年代くらいのは1世に近い感じです。中には、1世の作りかけを完成させたようなものもありました。
 市場では50年代のⅡ世は1,2本くらいなので試奏もなかなかできなく、70年代のものをよく試奏する機会があったので、その印象でした。

 三世さんは、本当にコンスタントに良いギターが作られ続けているので、いいことだと思います。娘さんのカトリンさんもすばらしい材料で父に負けないくらいのギターを製作していて頼もしいです。
ハウザーのラベルには A.D という紀元後という意味の記号が印刷されていますが、未来永劫に渡って、大事に人から人へ慈しまれ、愛奏されていって欲しいと願うハウザーさんの思いが伝わってくるようです。

因みに、ハウザーさんにお伺いしたところ、貴重なハカランダ材はまだまだ保管されているそうです。最近、楽器店で、ハカランダという言葉を聞かなくなり、意図的に、中南米ローズウッドと呼ばれることが多いようですが、本ハカランダ自体がもう入手できないからでしょう。そういう意味では、余程の老舗ビルダーの工房でないと使用も難しいと思います。松、ハカランダ仕様の三世作は本当に貴重です。
六弦 様もどうぞ大事に愛奏していってください。

Re: No title

ともさん、こんばんは。
ハウザーの材料ストックは相当なもののようですね。持ち過ぎていて、10年ほど前からは意図的に放出しているようで(節税対策とも…)、日本のビルダーもハウザーから譲り受けたと称しているギターも時々見かけます。もっとも第一級の材料は出さないでしょうけど(^^;。 私のハウザーはまだまだ眠りから覚めない状態ですが、それでも太くよく通る音で満足しています。ハウザーを弾き込むためにも、手持ちの楽器を少し整理しないといけないのですが、中々進みません。

プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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