F.ソル <アンダンテ・ラルゴ> 作品5-5


週末金曜日。すっかり陽が落ちるのも早くなり、朝晩は暖が欲しくなるほどだ。気付けば十月も半ばを過ぎた。あっという間に年の瀬だなあ…。今夜は8時少し前に帰宅。ひと息ついてギターを取り出し、ひとしきり弾いた。ギター弾きにはお馴染みのフェルナンド・ソル。彼が故郷スペインを離れてパリに出た頃に書かれた曲の一つに作品5-5<アンダンテ・ラルゴ>というニ長調の小品がある。中級クラスのギター弾きなら必ず弾いたことのある曲だ。今夜は久々この曲を弾き、そして今、セゴヴィアの演奏で聴いている。


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この曲は、曲の規模こそ5分ほどの小品ではあるが、ソルの作品の中でももっとも美しいものの一つだ。6弦ギターが持つ最も魅力的な響きが得られる音域ある第1弦の5から10フレットにメロディーラインをのせ、2弦の三度で下支えする。6弦のE線をDに下げる調弦で、音域を拡大すると同時にニ長調の安定した響きと、ポリフォニックに書かれた低音声部をしっかりとキープしている。中声部による多彩な和声展開は、ウィーン古典派の大家が書いたカルテットやピアノソナタの緩徐楽章に肩を並べるだろう。おそらく、ギターの楽譜の各声部をばらして、カルテットに仕立てても十分美しく聴き映えがするに違いない。
クラシックギター弾きの中には、クラシック音楽そのものとギター音楽が別の世界のものと思っている輩も少なからずいる。偉そうな言い方に聞こえそうだが、こういう曲を通して自分が弾いているソルやジュリアーニが19世紀初頭のウィーンやパリの香りを伝えるものだという時代感覚と様式感を意識してほしいし、そこからウィーン古典派や以降のロマン派の音楽にも親しんでほしいものだ。

Boijeコレクションの楽譜。作品5。この5曲目が<アンダンテ・ラルゴ>


当時の楽器とガット弦を使い、さらにソルが書いた教則本にならって、テーブルでギターの胴を支える姿勢で弾いている。



19世紀中庸に英国で流行したコンサティーナによる演奏。 ギター弾きでギター作品も残したレゴンディー(1822-1872)は人生の後半をコンサティーナ奏者としても活躍した。ソルはそのレゴンディに作品を献上してもいる。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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