クリップスの第九


好天の土曜日。例によって野暮用あってあたふたと終了。
夜更けて一服しつつ、しばらく前からムズムズしていた<第九でも聴こうか>の兆候に呼応。20種は下らない手持ちの第九の中からこんな盤を取り出した。


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ヨーゼフ・クリップス指揮ロンドン交響楽団による演奏。1960年録音。このコンビによるベートーヴェン交響曲全集の中の1枚。 手持ちの盤は、ぼくら世代には懐かしい70年代半ばに出ていたコロンビアの廉価盤シリーズのもの。70年頃には千円盤だったが、折から1073年の第一次オイルショックのあおりで諸物価高騰。1000円盤のジャケットを変えて1500円で再発となった時期のものだ。この時代の1枚物第九の定石通り、第3楽章の途中で盤面が切り替わる。 ここ数年、CDの全集版ボックスセットで出ているが、現在は廃盤の様子。どこかローカルのCDショップの片隅に売れ残っているだろうか。( 2006年発売。 2013年発売。 )

クリップスというとウィーン情緒にあふれる正統派モーツァルトなどで有名だが、ぼく自身はほとんど馴染みなく、手持ちの盤のこの第九くらいかもしれない。少なくても、ベートーヴェンの一つのイメージである、力強さ、悲壮感といった面からおよそ遠い感じがする指揮者だろう。しかし、クリップスとロンドン響との全集は意外に玄人受けするようで、HMVに寄せられている購入者のコメントも総じて評価高い。そんなことを思いつつ針を降ろしてみた。

第1楽章は中庸のテンポ。16分で通している。迫力不足という感じはないが、やはり力強さや巨大な構築性といった側面は控えめ。聴きどころの畳み掛けるような展開部も、全体にしなやかで見通しのいい展開が続く。第2楽章はかなり速いテンポで一気呵成に進む。録音セッションだからそんなこともないだろうが、ライヴであれば、ようやく第2楽章でエンジンがかかってきたという感じだ。第3楽章はクリップスの良さがよく出た演奏。丁寧に弾き進めつつも歌い過ぎない室内楽的なアンサンブルで、まるでディベルティメントを聴いているかのようだ。第4楽章は冒頭の低弦群のレチタティーヴォから明るい雰囲気が伝わってきて、この曲全体に対するクリップスの方向性が集約されているように感じる。合唱とのやり取りが続く後半も、過度な思い入れを差し挟む間もなく速めのテンポで進み、実力あるBBC合唱団が明るく大きく歌い上げて大団円となる。
近年発売されたCDがどんな音質は分からないが、マスターの素性が良さそうなことはこの古いLPからもよく分かる。中庸を心得た味わい深い盤として、価値ある録音だ。


この盤の音源。オケは対向配置をとっているようで、左奥からコントラバスが聴こえてくる。手持ちのレコードではいまひとつはっきりしなかったが、この音源ではよく分かる。



2013年PROMS。英国のナショナルユース管弦楽団。指揮者のヴァシリー・ペトレンコは2008年から同団の首席指揮者だそうだ。巨大な編成! 祝祭的雰囲気満点で気持ちのいい演奏。



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ヴァシリー・ペトレンコの指揮最高!

おはようございます。

英国ナショナルユース管の演奏、聴かせて頂きました。清々しいですね、とても気持ち良く聴くことが出来ました。
巨大編成の中でも木管や歌手の細やかな部分までもが綺麗に聴き取れます。凄く分離度が高い録音ですね。YouTubeにしては音質も大変満足出来ました。それに何と言っても若い方々が真剣に演奏する姿は、見ていてもうそれだけで涙が出そうになるくらい感動しました。
演奏終了後の聴衆の歓喜の声も凄い、皆さん満足気でしたね。
素晴らしい音源のご紹介、ありがとうございました。

Re: ヴァシリー・ペトレンコの指揮最高!

akifuyu102さん、こんばんは。
そう!若い人たちがひたむきに演奏する姿は、すがすがしくもあり、プロのオケでは得られない感動があります。そして、この大編成にも関わらず各パートが一体となって素晴らしいアンサンブルを繰り広げていて、練習の成果を感じさせます。PCに向かって思わずブラーヴォですね。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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