ラターの<レクイエム>
写真のおじさんに見覚えがあるだろうか。ちょうど2年ほど前、イギリス弦楽作品集というCDの記事を書いた際に貼ったもの。現代イギリスの作曲家:ジョン・ラターだ。この人はその記事にも書いた通り、合唱分野で多くの曲を書いている。中でも彼の<レクイエム>は90年代後半あたりから大そうな人気曲のようで、多くのアマチュア合唱団が取り上げているという。


しばらく前に、近所の書店にあるナクソス・コーナーでこの<レクイエム>の盤を見つけて入手したのだが、ずっと放置したままだった。今夜、何気なく音盤棚を見回していて、ふと気付いて取り出した。ケンブリッジ・クレア・カレッジ聖歌隊とシティ・オブ・ロンドン・シンフォニアというオケをティモシー・ブラウンという指揮者が振っている。2002年録音。
イギリス弦楽作品集でのラターの曲もそうだったが、わかりやすく美しいメロディーと和声。ポピュラリティーが強く、これならアマチュア合唱団の多くの飛び付くのも無理もない。ラターはフォーレの<レクイエム>の新しい版を監修したらしいが、この曲を聴きだして間もなく、そのフォーレの<レクイエム>を思い出したほどイメージが近い。時にオルフの<カルミナプラーナ>を感じさせるフレーズも出てくる。<レクイエム>の様式に沿った曲構成になってはいるが、言葉のわからないぼくなどが聴くと、単なる平易で美しい合唱曲としか感じない。
wikipediaによるとイギリスの教会組織やプロの合唱団は、この曲を重要な曲としては認めていないという。つまり典礼には使わないだろうし、作品としての質にも疑問を持っているということだろう。死者を弔う音楽として不適切と判断しているということかもしれない。事の始終は知らないが、この曲を聴く限り、ぼくもその見解に同意する。あまりに安易でキャッチーな美しさが耳につき、オリジナリティーを感じない。そういう音楽が世に多々あることは承知だし、ぼくも時に好んで接する。しかし曲に冠した表題は<レクイエム>・‥ということなのだろう。この曲を、あるいはラターの作品を批判するつもりなど毛頭ないが、目先のキャッチーさ=甘さばかりに気を取られずに、苦さも渋さも音楽と心得るべきだと、あらためて感じた。
この盤の音源。
もっともよく歌われる第3曲<Pie Jesu>
ラター本人がこの曲について語っている。
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