小澤のワグナー


新年明けて十日が過ぎた。すっかり仕事モードの日々。関東地方は数日おきに気圧の谷が通過する際に少し崩れる以外、ほぼ安定した冬型の天気で乾燥した晴天が続いている。寒さはこれからのひと月がピークだ。
週末土曜日。昼を挟んで野暮用外出。帰宅後は年末年始の続きで少し録画してあったTV番組を観る。NHKの<ブラタモリ>復活第1回京都編、それと年始に再放送された以前のベストテイク編。昨今テレビはほとんど観ないが、<孤独のグルメ><ブラタモリ>そんな路線の番組は唯一の例外だ。 さて夜更けて音盤タイム。数日ぶりのアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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小澤征爾とベルリンフィルによるワグナーの管弦楽曲集。1989年6月ベルリン録音。廉価盤や再発盤専門のぼくにしては珍しく、発売されてほどなく手に入れたもの。今はミドルプライスで入手可能な様子。収録曲は以下の通り。

 1. 歌劇≪さまよえるオランダ人≫ 序曲
 2. 歌劇≪ローエングリン≫ 第1幕への前奏曲
 3. 楽劇≪ニュルンベルクのマイスタージンガー≫ 第1幕への前奏曲
 4. 歌劇≪タンホイザー≫ 序曲
 5. 楽劇≪トリスタンとイゾルデ≫ 前奏曲
 6. 楽劇≪トリスタンとイゾルデ≫ 愛の死

小澤は70年代からベルリンフィルには度々客演していて、ぼくの学生時代の70年代半ばにも、NHKFMで現地でのライブ録音が何度も紹介されていた。当時の記憶を思い起こしてみると、ともかく音楽の流れ、あるいはノリといった方がいいかもしれない、そうした要素を強く感じる演奏だった。まもなく90年代に入るという時期のこの演奏も、その路線の延長線上にある。
ワグナーと聴いてイメージする、あるいは少なくもとぼくの世代以上にはほぼ共通認識としてあるワグナーの特質からは少し距離がある。音色は明るく、フレーズはもたれずに流れる。これをもって軽量級という言い方もあるかもしれないが、ぼく自身はそうは感じない。何故なら、出てくる音はベルリンフィルそのもので、低弦群や金管群の重量感は圧倒的。中低音の分解能に難のあるタンノイの特性とも相まって、ドロドロとしたやや古めかしくどっしりした響きが部屋に満ちる。重量級かつ高性能のオケを、スッキリとした造形と明瞭な組立てでコントロールした演奏という感じだろうか。<オランダ人>はどっしりとしたスケール感に乏しい。<タンホイザー>は呼吸の浅さが気になる。<トリスタン>は耽美的な雰囲気に欠ける。しかしベルリンフィルの音は常に最上だ。その意味でこの盤は、小澤を聴くというより、1989年時点のベルリンフィルとフィリップスの録音を確かめると言った方が適当かもしれないし、小澤の指揮はベルリンフィルの持ち味をよく引き出しているとも言える。しかし、音楽としてじっくり向き合って聴こうとしたとき、同じベルリンフィルを振ったテンシュテットの演奏を聴いたあとでは、いささは分が悪いというの正直な感想だ。熱心な小澤ファンのひんしゅくを買いそうだが…


この盤の音源で<タンホイザー>序曲。



<タンホイザー>序曲とヴェヌスベルクの音楽。テンシュテット&ロンドンフィルによる1988年来日公演。 



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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