成田達輝(Vn)のブラームス
きょうの関東地方は15日に続いて低気圧が通過。その後、午後から一気に気温低下し、寒い一日となった。昼をはさんで野暮用を片付け、夕方からの時間も空いたので、今夜当地で行われた群馬交響楽団の演奏会に行ってきた。少し前に帰宅。遅い夕飯を取ってひと息ついたところだ。


今夜の演奏会は定例の定期とは別枠のもの。新進気鋭のヴァイオリニスト:成田達輝(たつき)が来演。指揮は湯浅卓雄。現在もっとも国際的に活躍する日本人指揮者の一人だ。 プログラムは以下の通り。ブラームスとメンデルスゾーンという、ドイツロマン派の前期と後期を代表する作曲家の、しかも共に傑作中の傑作。ぼく自身ももっとも好きなロマン派の曲ということもあって大いに楽しみにし、会場に向かった。
メンデルスゾーン:序曲<リュイ・ブラース>
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
―休憩―
メンデルスゾーン:交響曲第三番イ短調<スコットランド>
成田達輝は2010年ロン・ティボー、2012年エリザベートで共に二位となり脚光を浴びた。1992年3月生まれで、まだ若い。札幌で生まれたが、中学1年のときに父親の仕事の関係で当地群馬へ移り住み、5年半を過ごした。中学校は前橋市内の公立中学に通い、高校から桐朋女子高校音楽科へ。東京調布市にある桐朋まで毎朝6時半の電車で前橋から通ったという。「前橋はぼくのふるさとです」と本人談。現在はパリ在住。
ブラームスを弾くのは2回目だそうだが、もちろん堂々とした弾きぶり。すでに国内外で多くのリサイタルやオーケストラとの共演も経験済みで不安な様子などみじんも無い。会場音響の影響か、使用楽器ガルネリの性格なのか、彼の持ち味なのか、きょう聴いただけではぼく自身よく分からないのだが、ブラームスのコンチェルトと聴いてイメージする、男性的で雄渾な響きとは違っていて、どちらかといえばリリカルな表現。音の線も細く感じた。特に第1楽章は動的というよりは静的で、落ち着いた弾きぶり。ただ、決してネガティブな印象ではない。長い第1楽章を楚々と抒情的に表現する解釈もある。第2楽章はそうした特質がよく合っていたし、転じて第3楽章では、身体でリズムをとるほどノッて弾いていた。アンコールで弾いたパガニーニのカプリース第1番と第2番も、もちろん技巧的な曲だが、いたってさらりと涼しげに弾いているのが印象的だった。ステージマナーも礼儀正しくかつフランクな雰囲気で好感がもてた。いずれにしてもまだ22歳という若さ。そして長身でステージ映えもするイケメンだ。今後ますます活躍することと思う。
メンデルスゾーンの<スコットランド>は、湯浅自身がBBCスコットランド響の首席指揮者であったことや、イギリスや北欧のオケとの関係が深いこともあって、まさに手の内にある曲。スコットランドの自然描写そのもののような曲想も、実感としてよく分かることだろう。大好きな曲の一つなので、ぼくも心の中で鼻歌を歌いながら聴いていたが、随所の決め所での処理も違和感なく、この曲の魅力を十分表現しつくしていたと思う。群響は特に弦楽セクションが秀逸で、この曲でしばしば出てくる弦楽パートの美しいメロディーを、よく整ったピッチとアーティキュレーションで弾いていた。
重量級の2曲が終わり、更にアンコールとしてベートーヴェンの<プロメテウスの創造物>序曲が演奏された。若い気鋭の奏者とベテラン指揮者の味わい。凍てつく夜の充実したコンサートだった。
2010年ロン・ティボー国際音楽コンクール。シベリウスVn協フィナーレ。
2012年エリザベート王妃国際コンクールでのブラームスVnソナタ。
メンデルスゾーンのVn協
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