セルの<オクスフォード>


きょうから二月。けさの当地は折から寒波到来で一段と冷え込み、終日冬晴れ快晴ながら寒風吹きすさぶ寒い一日となった。昼過ぎ野暮用を済ませて帰宅。夕方そろそろ陽が落ちかける時間にひと息ついて音盤タイム。先日入手したセルのハイドンを聴くことにした。


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今回手に入れたのは2011年にリリースされた4枚組の輸入盤セット。一昨年、国内盤で復活した一連のリリースと合せて現在、セルの録音がひと通り揃う状況になっている。ぼくなどはLP時代に多くの録音が廉価盤で出ているのを承知していながら横目でみてやり過ごしてしまったクチで、今になって落穂ひろいをしている次第。
今回の4枚組には、ステレオ録音の第92~98番(第97番は2種類)、それとモノラル録音された第88番、第104番が入っている。魅力的な2曲がモノラルというのが少々残念だが、セルのハイドン録音がまとまって安価に入手できた。全10曲からきょうは第92番ト長調<オクスフォード>をプレイヤーにセットした。

第1楽章、型通りアダージョの序奏で始まる。この序奏を聴くだけで、しみじみハイドンはいいなあと、いつも溜め息をもらしてしまう。弦楽群の綾なす美しい古典的な和声。長短の調性を交えつつ緊張と解決を繰り返しながら主部への期待を高めていく。セル&クリーヴランド管はじっくりとした歩調でこの序奏の美しさを存分に表現していて申し分ない。響きは透明を極め、一つ一つの音符の関係性を絶妙なアーティキュレーションで弾き分けていく。主部は速からず遅からずのテンポ設定がピタリと決まる。聴く前はもっと速めのテンポかと勝手に思っていたが、その予想よりはややゆっくり目。フレーズも丁寧にしっかりと合せ、時折り聴こえてくるチャーミングな木管の響きもいいアクセントなっている。
第2楽章アダージョは弦楽群と木管群の会話が美しい。中間部、短調に転じた辺りも力ずくにならず全体の響きのバランスがキープされる。第3楽章のメヌエットは堂々たる構えながら、不要に大仰にならないところがいい。単調になりがちなメヌエットだが、全休符や木管、ホルンの巧みな活用など、ハイドンはいろいろと趣向を凝らしていて飽きさせない。終楽章は快活な、これまたいかにもハイドンという感じのプレスト。クリーヴランドのアンサンブルは、中間部の対位法を駆使した緊張感のあるフレーズを一糸乱れず弾き進める。小気味いいことこの上ない。このハイドンは、セル&クリーヴランドについて巷間言われるその特徴がことごとく当てはまるが、同時にちょっとしたフレーズや木管群の響きにさりげない愛らしさも感じる。リマスタリングで音もリフレッシュされ、バランス、広がり、低音の充実などよい仕上がりだ。ぼくのようにかつて買い逃していた輩には好適のアルバムかと思う。


この盤の音源。<オクスフォード>全曲。



アーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス。2001年。



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No title

こんにちは。

セルのコレクション素晴らしいと思います。
その頃のクリ-ブランド管には大戦で欧州から渡米された名人達の優れた弟子がぞろぞろ入団したのですね。
玄人筋で最も評価高いクラリネットのマルセラスの師匠はウィーンでウラッハの前任者でした。 マ-ラ-やワルタ-時代の奏者でしたがユダヤ人のために、とても若いウラッハに譲ったそうです。

師匠直伝のウィンナト-ンを引き継いだのですね。

ご存じでしょうが米国は一般的なフランス管を使いますが当時にウィンナト-ンは道具類含めて至難だったのですね… セル時代のクラリネットが素晴らしい訳です。


トランペットは後に小澤ボストン首席になる若きシュリ-タ 、ホルンはセル亡き後にパリ管に迎え入れられたブ-ルム、チェロはソリストとなったリンハレルなど若き宝物ばかりでした。

私もセル時代の「良く出来てるな、、棒にこれだけついて行くには、かなりさらってる」と尊敬してきました。


誤解ないようにですが個性的な音楽性とファンタジ-があっても音出すのは楽員なので素人がわかるミスやキ-スクには興醒めだし偶然とはいきません。

音程や和声でも合わないより合ったほうが良いに決まってます!

最低限のqualityは録音においてもバランス、情報量良く色合いも感じさせるのは古めでも貴重な宝ですね。

Re: No title

マイスターフォークさん、こんばんは。
長い楽器経験に基づくコメントありがとうございます。参考になりました。
先日、別の記事を書いた際にリン・ハレルの演奏動画を貼りました。久しぶりに見たときは、誰だか分かりませんでした(^^;。若き日の彼も60年代のクリーヴランドを支えた一人でしたね。
60年代はアメリカといえども、ボストン、クリーヴランド、デトロイト、シカゴ等々まだまだオーケストラも地域性あるいは指揮者の支配力が強かったのでしょうね。それぞれの地域の歴史的成り立ち、欧州との関係性など、興味深い要素が多々あると感じています。

セルのハイドン

セルのハイドンは、実に良いですね~。パブリック・ドメインになって、多くの人が「品切」「廃盤」と言われ諦めることがなくなりました。こういう演奏を聴くと、ほんとに音楽の愉悦を感じます。
先のコメントにありました、マーセラス(Cl)とのモーツァルト「クラリネット協奏曲」、ブルーム(Hrn)とのR.シュトラウス「ホルン協奏曲」など、LP時代から好んで聴いていますが、素晴らしい演奏ばかりです。いずれもパブリック・ドメインになってきていると思います。こういう録音に言及される方がおられる事を、ひそかに嬉しく思います(^o^)/

Re: セルのハイドン

narkejpさん、毎度どうも(^^
セルの素晴らしさは以前から承知しているつもりでしたが、CBSソニーの扱いもあって、これまでまとまって聴く機会を得ませんでした。今更ながらですが、ここへきてボチボチ聴いています。そう、合わせ物もありますね。クリーヴランドの若き名手達の名演の数々。いずれまた接することにいたしましょう。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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