セルの<チャイコ5>


二月最初の週末土曜日。平日寝不足の帳尻合わせで、朝は惰眠をむさぼり、昼をはさんで外出のあともダラダラと…。気付けば一日何をするでもなく終わる。まったく怠惰な一日。まあ、こんな日もあるさ。いや、ほとんどこんな日ばかりのわが人生か…。 さて、気を取り直して夜更けの音盤タイム。怠惰な一日の倦怠感を引きずりつつ、ロシアンロマンティシズムに浸ろうかと、こんな盤を取り出した。


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チャイコフスキーの第5交響曲ホ短調。またまたジョージ・セル指揮のクリーヴランド管。手持ちの盤はぼくら世代には懐かしい、70年年代中庸にCBSソニーから出ていた3枚組。<四大指揮者による交響曲名鑑>と題されたシリーズ中のもの。四大指揮者すなわち、ワルター・バーンスタイン・セル・オーマンディーの当時のCBSソニー四天王。ドイツグラモフォンなら、カラヤン・ベーム・ヨッフム・クーベリックあたりだろうか。すでにワルターとセルは物故していたが、クラシックの管弦楽曲録音ではこの四人が当時のCBSソニーを背負って立っていた。第5巻:チャイコフスキー三大交響曲集では、第4・5・6番がそれぞれオーマンディー、セル、バーンスタインの録音で収められている。
クラシックを聴き始めてすでに40年余になるが、チャイコフスキーの交響曲は若い頃にもっとも頻繁に聴いた曲の一つだった。特に5番は、このレコードのセル&クリーヴランドの演奏で完全にインプットされ、ぼくのデフォルトになった。テンポ設定、緩急の按配、管弦楽のバランス、そうしたものの基準がこの演奏となり、今でも様々な演奏を聴くときに、このセルの演奏と対照してしまう。

ほとんどの局面でインテンポを守り、オンビートの凝縮された響きで曲を進める。スコアを眺めたわけではないが、多くの指揮者が恣意的にテンポを上げ下げして何がしかの効果を狙うようなフレーズでも、セルは厳しく自らを律するように古典的造形を崩さない。管弦楽の響きのバランスは決して肥大化せず、常に透明で曲の推進力をそぐことがない。一方でほの暗いロマンティシズムに満ちた第2楽章や、チャーミングな歌にあふれる第3楽章などでは、くどさを感じさせない程度の絶妙なルバートを聴かせる。終楽章の主部に入ってからもテンポキープでグイグイと進み、最後に大見得を切ってコーダに入る。何度聴いても鮮やかで、カタルシスを覚える演奏だ。


近年指揮活動も始めているチェリストのハンナ・チャン。オケは中東のカタール・フィルハーモニー。豊富なオイルマネーで世界中から優秀なプレイヤーを集めている様子。ハンナ・チャンは2013年に同オケの音楽監督に就任したものの1年で辞任とか。この2014年プロムスでの演奏は短い蜜月時代のものということになる。



タネーエフ編4手連弾版の演奏。



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ジョージ・セルのチャイコフスキー5番

これは、いい演奏ですね。いわゆるチャイコフスキー節というか、泣き節とは違いますが、例のホルンソロのところも、全体の響きの中にバランスよく位置づけられた、格調高く立派な演奏と感じます。数年前に、私も同じ盤を取り上げておりました。
http://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/6af1af5f054e1c968a5ae1380d2680d6
すでにコメントしたつもりでおりましたが、「ハーリ・ヤーノシュ」のほうと勘違いしたかも。うーむ、こういうところに、中高年うっかり症候群が現れるのかもしれません(^o^;)

Re: ジョージ・セルのチャイコフスキー5番

narkejpさん、毎度どうも。
私の場合は十代の頃、この曲で最初にインプットされたのがこのセルの演奏でした。全体のテンポ、細かなルバート、楽器のバランス、すべてこの盤がリファレンスになったため、それ以降、他の演奏の多くに違和感を覚えたものです。多感な時期に、しかも数え切れないほど何度も聴いたためでしょうし、またセルの演奏がそれだけ規範になるものであったことも紛れもない事実だと思っています。

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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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